VOC分析装置 SESI-X
Secondary Electro Spray Ionization
生体由来の揮発性成分・ナノエアロゾルをイオン化する新しいイオン源
ナノエレクトロスプレーにより大量の帯電粒子を生成し、帯電粒子からのイオントランスファーによって気体やナノエアロゾルはソフトにイオン化します。イオン化した気体やナノエアロゾルはMSの真空中に移動し分析されます。
また、Fossiliontech社ではすべてのスプレーチップの生産、QC/QA、納品をコントロールしています。すべてのスプレーチップは出荷前に検査、テストを実施しており品質管理レポートが付与されています。
大気圧でイオン化することのメリット
- 真空下でのイオン化により発生する乱流損失を抑え感度を向上させることができます。
- イオントランスファーの速度が格段に速くなります。大気圧(1000mBar)では、イオントランスファー速度は1mBarの時の100万倍です。
- 高性能エレクトロスプレーシステムは、イオントランスファー、脱溶媒、大気圧から真空側へのイオンの移動をスムーズに行なうシステムです。
Super SESI-Xは、通常のESIイオン源と同様にMSに簡単に接続できるよう設計されています。
一次イオンの供給源としてナノスプレーを用いる理由
- SESIは安定したスプレーを実現し、フラグメンテーションの原因となる高エネルギーイオンを排除することで非常にきれいな分子関連イオンスペクトルを得ることができます。これはバイオマーカー探索にとって非常に重要なことです。
- ナノジェット付近の帯電粒子濃度が非常に高いためイオン化効率が非常に高くなり、検出限界の向上が期待できます。
その他
- イオン化から検出までどの部分にも熱が加わらないため熱に弱い化合物の検出ができます。
- オンラインで分析するため経時的な変化を見ることができます。
対応機種
- Thermo Fisher Scientific:Orbitrap Exploris/Orbitrap Tribrid/TSQ MS series
- Bruker:tims TOF series/QTOF series
アプリケーション
呼気分析
- 呼気バイオマーカ探索
- リアルタイム薬物代謝
- 薬物動態解析
- 吸入薬物動態解析
- 暴露動態解析
- レトロネーザル分析
代謝を知るための非侵襲的な方法
- LUNG(TM of nature):ラボで使用できる最も効果的な脱着装置
- EXHALION™:呼気操作をガイド
- SESI-HRMS:呼気を直接イオン化、分析
メリット
SSXは捕集機能を使用せず、肺からの呼気を直接分析します。
1. データの感度や質の向上
- 人間の肺は低揮発性の重い分子やウィルスを含んだナノエアロゾルを吐き出しています。
GC-MSのオフライン吸脱着システムではこのような低揮発性の大きな分子は揮発する前に熱分解を起こしてしまいます。また肺の呼吸は100m2にもなりガス交換効率は非常に高く高感度な検出を実現します。
以上のことから、呼気の直接分析において肺は世界で利用できる最も効率的な脱着装置と言えます。 - 肺は2つのメカニズムでナノエアロゾルを生成します。
- 肺胞液の破裂によるナノエアロゾル
- 気管上皮の繊毛の動きで噴霧される微小なナノエアロゾル
SESIではオプションのEXHALIONを取付けることにより、上記のエアロゾル画分を別々に取扱・分析することが可能です。
2. 経時的なデータの取得
タバコに関連する様々な代謝物の経時的な変化を測定することができます。リアルタイム呼気分析は非侵襲的な方法で、肺への取り込みの動態と体の代謝反応を研究するために使用することができます。
3.1回の呼気分析で安定した2000以上のイオンを検出
3. 1回の呼気分析で安定した2000以上のイオンを検出
- 肺胞液の破裂によるナノエアロゾル
- 気管上皮の繊毛の動きで噴霧される微小なナノエアロゾル
- S/N比4以上
- 呼気サンプルについては生体試料注入量全体における(RSD)が30%未満であること
4. HRMSと接続することにより高分解能での測定可能
>120.000(QE-Plusと連動した場合)
5. 優れた応答時間
2秒以下を実現
VOLATILOMICS
動物
動物のVOC分析時のメリット:
- サンプリングが非侵襲的である
- サンプリング量に制限がない
- リアルタイムモニタリング
アプリケーション例:
薬物動態・バイオマーカー探索・代謝物モニタリング
食品
サンプルの前処理が不要なため、食品の安全性、品質、さらに特定の原産地まで評価できる非破壊のリアルタイム測定が可能
アプリケーション例:
異物混入・トレーサビリティ・食品偽装・アロマプロファイリング
微生物
細胞培養物(細菌、ウィルス等)のヘッドスペースに放出されたVOC研究は微生物学分野において以下の応用が考えられます。
アプリケーション例:
細胞培養中の生物種同定・細胞の生育ステージのモニタリング・薬物やストレスに対する代謝応答の測定
植物
植物は周囲環境と相互作用し、化学的なシグナルを出します。これらの化学的応答は揮発性有機化合物(VOC)の放出という形で起こり、SESIを利用することによりそれらを測定することが可能です。
アプリケーション例:
植物代謝のモニタリング・刺激による代謝反応
アプリケーション関連資料
構成・仕様
電源 | 220VAC、500W |
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重量 | 7.5kg |
寸法 | H291xW213xL179mm |
最高温度 | 180℃(line)、130℃(イオン源) |
nAmp | -200~200nA(精度:0.3nA) |
絶縁電圧 | 8kV |
内蔵PC | Quad core、64bit、1.5GHz、8GB SDRAM |
通信 | 2xSerial(リモートサポート用にUSB1口) |
最適化された流路設定
- 窒素ガスを流し続けることにより、内部環境をクリーンに維持
- 排気経路はイオン源から離した設計で夾雑ピークを低減
- 露出部分を最小限に抑えたサンプル流路設計
- 精度の高い温度制御
- Silkonert™コーティングにより不活性度が向上
- 活性炭フィルターを内蔵
- 高精度・高速 active Mass Flow Controller(Wisper Alicat™)がイオン化領域の流速・流量を制御
- イオン源と流量制御装置へのアクセスが容易なため細かな洗浄が可能
SSXでは最もイオン化効率の良い方法として、
水/ギ酸のナノエレクトロスプレーを採用しています。
信頼性の高いナノエレクトロスプレー
- 電圧・電流振動ダンパーで放電を排除
- デジタルマルチメータ(精度0.3nA)で安定性をモニタリング
- 電気化学的な影響を最小限に抑えるため、溶媒はタンタルで引加
- ナノエレクトロスプレーの位置はデジタルマイクロサーボモーターで制御
- デジタル圧力コントローラーによる送液制御
- Sharp Singularity Emittersを採用
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