VPSリフロー装置についての解説Vol.38 - May 2021
IBL社製VPSリフロー装置の特徴とメリット
IBL社製VPSリフロー装置の特徴とメリットについて、全4回にわたって解説します。
- 第1回:
- VPSリフロー装置(Premium-Line)でのリフロープロセスの概要
IPSプロファイル測定システムの概要
- 第2回:
- データ処理とトレーサビリティに関する概要
- 第3回:
- VPSリフロー装置(Economiy-Line)でのリフロープロセスの概要
温度校正方法の概要
- 第4回:
- 真空リフロー装置(VACシリーズ)のリフロープロセスの概要
プロファイルパラメータと機能の概要
第1回
VPSリフロー装置(Premium-Line)でのリフロープロセスの概要
IPSプロファイル測定システムの概要
IPSプロファイル測定システムの概要
まえがき:VPSについて
- ガルデン® PFPE 沸点温度=リフロー温度 VPSリフローのリフロー温度はガルデン® PFPEの沸点温度=飽和蒸気温度で決まりますので、リフロー温度の変更はガルデン® の変更のみで可能=装置側でのヒーター/ブロー調整などによる雰囲気温度管理が不必要で管理がシンプル
- 不活性雰囲気でのはんだ溶融による高品質なはんだリフロー
ガルデン® PFPEの飽和蒸気の潜熱凝縮加熱によるはんだ溶融ですので、完全な不活性雰囲気でのはんだ溶融
不活性雰囲気なのでデバイスのピーク温度に達しない - ゼロ過加熱&低温プロセスで熱ストレス・ダメージの抑制
VPSリフロープロセスではワーク温度は蒸気層温度よりも高くなることが無い
VPSリフローは熱伝導率がとても高いので、はんだ溶融温度+5~10℃ではんだリフロー処理が可能
VPSリフロー装置の特徴
1.VPSリフロー方式によるリフロープロセス実現の要素と特性
- 高品質な素材で作られたプロセスチャンバー内に置かれた熱媒が、チャンバー底部に取り付けられたヒーターによって効率よく加熱されて発生した蒸気層を形成する飽和蒸気によって熱を伝達します。
※蒸気の伝熱係数(100-400)は熱風式(5-60)と比較しても10倍以上 - IBL社の特許取得済みのSVPプロセス(後述)により、蒸気層内で1-20までのデバイスの高さレベルを変化させることでプロファイル勾配を制御します。
- TC(Temperature Control)制御
TC制御されたプロセスと設定値の組み合わせにより、デバイスの熱容量に依存せず安定した加熱を行う事が可能です。TC制御を行う事により、はんだプロファイルやプログラムの設定を迅速かつ簡単に行う事が可能。
※VPSでは、雰囲気温度が安定している為、他の方式と比較してプログラム設定が容易 - パイロットモード デバイスの計測を行った結果から温度制御機能を用いた量産プログラムを作成します。これによりデバイスの数量などに影響されずに安定したリフローを行う事が可能。
2.SVPプロセス
- ベーパータンク内の飽和蒸気(ベーパーブランケット)には様々な熱容量が存在します。この性質を利用して、デバイスの熱容量に応じて適切なエリアに移動させることによって柔軟で正確な勾配制御を可能としています。
- IBL社の特許取得済みのSVPプロセスによって、高さレベルの移動による勾配制御を行う事で従来のVPSのようなリニア勾配のみならず、JEDEC準拠の推奨リフロープロファイルも容易にプログラムする事が可能となりました。
- SVPプロセス 蒸気層内における熱容量の違いを1-20段階の高の調整で制御します。
- シーケンスプログラミング プログラムは簡単なシーケンスの設定のみで行う事が出来、それぞれのシーケンスごとに高さ、温度、時間を設定してその組み合わせで作成されます。
- トランスポートシステム(TPS) 特許取得済みのTPSシステムにより、熱のかからない部分に設けられたモーターによって回転運動を水平運動及び垂直運動に変換する事でキャリア搬送を行います。このため、振動が非常に少なく、なめらかに動作する事や、機械的な摩耗が最低限である事からメンテナンスフリーの搬送システムとなっています。
- SVPシーケンスごとに搬送速度を可変する事も可能です。
3.TC(Temperature Control)温度制御プロセス
- シンクロモード リフロー開始前にまずキャリアに対して予熱を与える事で毎回一定の条件下で基板リフロープロセスを行う事が出来ます。
- 基板に取り付けた熱電対を基準にプロファイルプログラム作成
- SVTCセンサーコントロールプロセス SVPプロセスの再現性を確保するため、TPSに取り付けられたオートマチックTCを使用する事によって基板の種類や数量に関わらず一定のプログラムで安定したリフローを行う事が出来ます。
- パイロットモード プログラム作成時は基板に取り付けた熱電対を使用しますが、パイロットモードによりそのプロファイルを生産プログラムに変換する事で基板に熱電対をつけることなく安定したリフローを行う事が可能です。
- 生産プログラム 生産プログラムでは、パイロットモードにて作成されたオートマチックTCの温度プロファイルつまり雰囲気温度を基準とすることでデバイスの種類や数量に関わらず安定したリフローが可能です。
4.IPS(Intelligent Profiling System)温度測定/解析システム
図は、代表的なリニアプロファイル(上)とソークプロファイル(下)のプロファイルグラフと、SVPを用いたデバイスの状態の概略図を示しています。SVPプロセスで得られた測定データは、IPSソフトウェアによって表示・記録され、後から解析を行う事も可能です。
- 測定チャンネル 基板のリフロープロファイル測定用として4CHのKタイ熱電対を搭載可能。
- 熱電対アダプター キャリアに取り付けられた4本のKタイプミニチュアソケットにより、プロファイル測定の際、短いケーブルを基板からソケットまで接続するだけで測定が可能となります。
- TRS(温度記録/解析ソフトウェア) 収集したプロファイルデータの分析や管理、さらにアラームやイベントログなど装置の動作に関わる情報も含めて管理が可能。
- Tcal(温度キャリブレーションソフトウェア) 熱電対による計測誤差の補正や温度測定システムの校正を行うためのキャリブレーションソフトウェアを内蔵。校正結果のレポートも出力可能です。
お問い合わせ
製品やサービスについてのご質問・ご要望等ございましたら、下記のフォームにてお気軽にお問い合わせください。