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インモールドエレクトロニクスとは?

2024年7月29日

20年前頃より装置に電子機器を組み込むというアイデアがありましたが、コスト等の懸念から実現は難しいとされておりました。しかし、 Voltera 社のNOVAプラットフォームのようなAM技術(Additive Manufacturing)向けの新しい手段が市場に導入されるにつれて、より新しく、より軽く、より小さく、より複雑な設計が現実的になってきています。

インモールド・エレクトロニクスの定義

インモールド・エレクトロニクス(IMEs)とは、プラスチック成形品に電子素子を組み込むプロセスのことを指します。通常、以下のプロセスで構成されます。

  1. 熱成形可能な回路を印刷する。
  2. 回路を指定の3D形状に熱成形する。
  3. 熱可塑性ポリマーを射出し、電子素子を封入する。

最終的な用途にもよりますが、IMEsには、センサー、LED、マイクロコントローラー等、機能性を高めるために従来の電子機器に含まれていた表面実装デバイス(SMD)をすべて適用することができます。SMDは通常、熱成形前の段階で回路上に搭載されます。最終製品は、機能的で硬いプラスチック部品です。

射出成形

インモールド・エレクトロニクス市場の可能性

IMEsは比類のない自由な設計を提供し、高い機能性を維持したままの洗練された現代的で軽量な設計を可能にすることにより、優れたユーザー体験を生み出します。これらのエレクトロニクスは耐水性、耐傷性、耐薬品性に優れているため、耐久性が高く、過酷な環境でのアプリケーションにも最適です。その上、高度に自動化されたIMEs ワークフローは、製造、組み立て、メンテナンスのコストを削減することができます。

IMEsは、硬い筐体内にリジット基板(PCB基板)を実装するような従来のアプローチに比べて、より洗練されたソリューションです。現在では、自動車、医療機器、航空宇宙、家電業界におけるヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)アプリケーションにおいて、ますます普及しています。IDTechEx のレポート「In-Mold Electronics 2023-2033」においては、IMEの市場は2033年までに約20億ドルに達すると予測されています。

アプリケーション
自動車産業
自動車業界のIMEテクノロジーは、タッチセンサー式ダッシュボード、統合照明、コントロールパネルなど、洗練されたHMIの設計に用いられていますこれらのデザインでは、従来の機械的なボタン、ワイヤー、コネクターを排除してしまい、ボタンのない流線形のインターフェイスが実現されています。その結果、デザインは視覚的にすっきりするだけでなく、機能的にも統合され、車両のインテリアとしてシームレスに溶け込んでいます。
IMEの自動車用センターコンソール
IMEの自動車用センターコンソール
家電製品

家電製品においては、IMEはヘッドフォン、スマートウォッチ、フィットネストラッカー、スマートホームデバイスなどの製品に応用されています。例えば、Tactotek社はIME技術を利用して、薄くて透明なユーザーインターフェースを曲面プラスチックフレームにはめ込んだヘッドフォンを開発しました。このデザインでは、ミニマリズムを体現し、フレーム内での電子制御を緻密に統合しています。タッチコントロール機能と、敏感なライトが体裁よく組み込まれ、直感的でわかりやすいユーザー体験を可能にしています。

家電におけるIME

インモールド・エレクトロニクス用インク

IMEsにおいて使用される導電性インク、誘電性インク、導電性接着剤は、熱成形や射出成形の工程に耐えうるものである必要があり、高温、高圧、伸びに対する耐性が求められます。特に導電性インクは、高い導電性、低い接触抵抗、良好な接着性を発揮する必要があります。互換性と最適な性能を確保するためには、導電性インク・誘電性インク・導電性接着剤については同じサプライヤーの製品を選択することを推奨します。

IMEs用インクを製造しているインクサプライヤーには、以下のようなものがあります。

結論

IME技術の市場が成長し続けるにつれ、ユーザー体験をより向上できるようになり、製品性能の改善の余地がますます認識されるようになっています。IMEの詳細については、以下のリソースをご覧ください。

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