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精密液体ディスペンスシステムとは?
2024年10月25日
精密液体ディスペンスシステムは、普段私たちの周りにある製品の製造において重要な役割を果たしています。幅広い産業で使用されているため、日常生活の中であまり精密液体ディスペンスシステムの役割を気に留めることがありません。
この記事では、液体ディスペンスシステムの簡単な概要、アプリケーションの紹介、この技術に関する一般的な課題、そしてVOLTERA社のモジュール式ディスペンスシステムであるNOVAの概要についてご紹介します。
精密液体ディスペンスシステムとは?
精密液体ディスペンスシステムを使用すると、基板上の狙った場所に微量のアセンブリ液体を塗布することができます。マイクロリットルやナノリットルの液体を扱う場合、大抵の手動ポンプや流量計では、液体の吐出量を制御することはほぼ不可能です。これらのシステムは、微細なディスペンシングが求められるアプリケーションにおいて、制御、精度、正確性、一貫性を実現するために開発されました。
液体ディスペンスシステムの種類
最も一般的な液体ディスペンスシステムには、以下の2つのタイプがあります。
非接触式:ジェット・ディスペンスと呼ばれます。この方式では、液体は離れたところから基板上に塗布または”噴射”されます。
接触式:この方法では、高度な制御の下で材料を塗布するためにバルブを使用します。非接触式に比べ、幅広い流体に対応可能です。接触方式の例としては、以下のようなものがあります:
- 空気/時間 圧力式:空気のパルスが特定のパターンでプランジャーをシリンジ内で前進させ、材料を塗布します。
- 機械的容積式:ロッドまたはピストンがカートリッジから液体を押し出す。
- オーガー:モーターによってオーガースクリューを回転させ、容器から液体を押し出してノズルに導く。
- プログレッシブ・キャビティ(PC)ポンプ:オーガーシステムと同様に、PCポンプはローターとステーターを利用して、密閉された雌型(キャビティ)に正確な量の液体を充填し、ノズルに向かって押し出し、高粘度流体による安定した塗布を可能にします。
液体ディスペンスシステムの用途
以下のような多くの産業で、材料の塗布にディスペンシングシステムが利用されています:
- エレクトロニクス:はんだペースト、導電性接着剤、導電性インク、フラックス、コーティング、アンダーフィル接着剤、ダム&フィル剤。
- 医療:バイオマーカー検出、体内・体外バイオメディカルセンサー。
- RFID:環境にやさしく、高コスト効率な非接触データ転送および位置特定システム。
最近の調査によると、2022年の液体ディスペンスシステムの世界市場は、電気・電子機器組立部門がリードしているようです。
液体ディスペンスに使用される材料
精密液体ディスペンスシステムは、多様な材料を用いることができます。これらのシステムで使用される最も一般的な材料には、以下のようなものがあります:
- フラックス:はんだ付けにあたって接着を容易にするために金属表面に塗布するための化合物
- 導電性インク:電気を通すことができる印刷材料。
- 潤滑剤:互いに接触する表面の摩擦を減らすのに役立つ油性材料。
- はんだペースト:フラックスに懸濁させた粉末状の金属はんだ。
- 接着剤:近接する面を接着することができる物質。
- シーリング材:表面同士をくっつけた際、その間を埋める材料。
- コンフォーマルコーティング:汚染物質や環境要因から保護するために部品の上に塗布するフィルム。
- エポキシアンダーフィル:毛細管現象によってチップを基板に接続するために PCBに使用するエポキシ材料。
上記と同じレポート中に下グラフが掲載されており、米国の液体ディスペンスシステム市場における様々な材料の成長を示しています。
2022年の液体ディスペンスシステムの世界売上はアジアが40%以上を占めましたが、米国市場では潤滑剤、はんだペースト、接着剤、シーリング剤に対応したシステムの需要が高まっています。これは主にエレクトロニクスと自動車製造の進歩に伴ったものでることが考えられます。
精密液体ディスペンスの利点
精密液体ディスペンスシステムの主な利点は、高解像度のパターンを素早く印刷できることです。これらのシステムは、高品質の塗布を完成するように設計されています。これらのシステムを用いたアプリケーションの多くは、大量注文で一貫した印刷を必要とするため、再現性が鍵となります。
また、これらのシステムは生産ラインに組み込むことで、開発時間を大幅に短縮することができます。交換可能なディスペンサーやプログラム可能な設定など、カスタマイズ可能な機能を備えています。ディスペンサーが容易に交換可能なので、異なる材料でのディスペンスも気軽に用いることができます。例えば、粘着インクを塗布するための精密ノズルから、コーティングをスプレーするためのノズルに数秒で切り替えることができます。
精密ディスペンスシステムの課題
主な課題の一つは、お客様のアプリケーションに適したシステムを見つけることです。材料科学者でない限り、アプリケーションの要件が分かっていても、技術仕様に圧倒されてしまいがちです。市場には万能な材料ディスペンスシステムは存在せず、それぞれに長所と短所があり、特定の用途に合わせて調整されていることがほとんどです。購入する装置が決まっても、材料の信頼性やフローに関する問題に直面することはよくあることです。
そこにシステム、材料、基材があるとして、どのように装置へ指示を出ししどこにディスペンスするのか?どのくらいの量を付着させるべきか?いつ、どこで開始し、どこで停止すべきか?
これらのバランスをとりながら、一貫性、材料漏れ、品質結果を管理するために設定を調整することは、簡単な作業ではありません。
NOVA:Voltera 精密液剤ディスペンスシステム
ちょうど1年前、Volteraは精密液体ディスペンスシステムNOVAをリリースしました。NOVAは、スクリーン印刷可能な材料(1,000~1,000,000cps)に対応する唯一のシステムです。NOVAは、ユーザーのプロトタイピングの内製化を支援し、ユーザーエクスペリエンスに重点を置いた設計がなされています。
NOVAは高度な吐出制御を備えており、ユーザーは確実に材料を塗布することができます。内蔵カメラと拡張リアリティオーバーレイによって正確な読み取りが可能になり、アライメントエラーやミスプリントを防ぎます。統合されたプロービングシステムは、基板の高さを高精度でマッピングするため、ユーザーはより微細な解像度や複雑な印刷を安心して行うことができます。さらに、クローズドループ・フィードバックシステムと加熱式スマート・ディスペンサーにより、ユーザーは材料の粘度に関係なく、一貫したフローを実現することができます。
NOVAの利点
- 最小限のトレーニングで、NOVAのソフトウェアは市場に出回っている他の多くのシステムよりも使いやすくなっています。
- デモンストレーションビデオで、ステップ・バイ・ステップで伴走します。
- アプリ内のライブチャットでサポートスタッフとリアルタイムで連絡が取れます。
- 材料ライブラリにより、材料固有の情報や校正設定を保存できます。
結論
アディティブ・マニュファクチャリングが研究成果と製品開発に革命をもたらし続けるにつれて、イノベーターは目標を達成するための適切なソリューションを模索しています。開発期間を短縮し、信頼性の高い、高品質な結果を得るための費用対効果の高い方法を模索しているのです。
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